先月・今月と静岡県での「もやよし」が続いているのは、ただの偶然です。
「きょうの演劇」 というアートプロジェクトのリサーチで、静岡市の清水区に1週間ほど滞在しました。
そのリサーチ中に1日だけ時間をもらって、新清水駅〜新静岡駅間を走る静岡鉄道(通称:しずてつ)の狐ヶ崎駅で「もやよし」を行ってきました。
しずてつはローカル線といっても市街地を走っているし、車両も駅舎も綺麗に改装されており、本数も多くて10分に1本くらいのペースでやってきます。
狐ヶ崎駅は新清水駅から3駅目、10分足らずで到着しました。
カーブミラーの後ろに見える青緑色の橋には、ちょっとした秘密があります。
今回の行き先を狐ヶ崎駅にしたのは理由があるんですが、それはまた後でお話しするとして。
まずは青緑色の橋を見に行きましょう。
道をぐるっと回り込むと
橋が見えてきました。
黄色い看板の右側、橋の中に水が流れているのがわかりますか?
これは谷津沢川水路橋(やつざわがわ すいろきょう)といって、線路の上を川が渡って、そのまた上に歩道がある、という珍しい橋だそうです。
橋の中を水が流れていたとは…、下から見た時には全然気がつきませんでした。
さて、水路の流れに沿って降りていくとすぐに、イオンの看板が見えてきました。
実はこのイオン清水店こそが最初の目的地なのです。
大きな池が隣接している、不思議なイオン。
実はこの場所はかつて、遊園地だったそうなのです。
ここにあった遊園地、
その名も 狐ヶ崎ヤングランド。
「きょうの演劇」のプロジェクトメンバーからその話を聞いて、「ヤングランド」というこってりとした響きに魅せられ、ここまでやってきた次第です。
ヤングランドは1993年に老朽化等のため閉園してしまったそうですが、その跡地には今でも、
ボウリング場「ヤングランドボウル」としてその名を残しています。エモいですね。
そもそも狐ヶ崎駅の駅名は「狐ヶ崎ヤングランド」に由来するそうで、
その「狐ヶ崎ヤングランド」は名刀「狐ヶ崎」にちなんで名付けられたとのことですが、
名刀「狐ヶ崎」の由来となった地名「狐ヶ崎」自体は、静岡市内の別の場所(静岡市葵区川合付近)にあったそうです。
参考:Wikipedia: 狐ヶ崎駅、Wikipedia: 狐ヶ崎 (刀)
しかも狐ヶ崎駅は「上原駅」→「遊園前駅」→「狐ヶ崎駅」→「狐ヶ崎ヤングランド前駅」→「狐ヶ崎駅」と改称を重ねてきており、
…ややこしすぎる。
このイオン清水店は、狐ヶ崎が持つややこしい歴史の象徴と言えるのかもしれません。
そんなイオンを出てすぐ目の前にある、これまたややこしい構造の交差点にやってきました。
階段を降りてみます。
要素が多くて最高です。
この場所でいつまでも遊べてしまいそうですが、
意外と歩行者や自転車の通行が多かったため、あえなく退散。
魅惑の立体交差から東へ進むと、
ほどなくして広々とした公園に着きました。
有東坂池(うとうざかいけ)多目的公園です。
またもや、大きな池。
イオンの隣の池から、さほど距離は離れていません。
大雨が降った時には、広場のほうにも水を貯めて浸水被害を防ぐんだそうです。
撮影前日には結構な雨が降りましたが、この日は快晴、猛暑。こまめな休憩が欠かせません。
前日に雨が降ったせいか、壁から水がジョボジョボ流れ出ていました。
地図で見て気になった地点に来てみました。
道が綺麗に45度で交差していますね。こんなに斜めの道を通してしまったら、
余りの空間が生まれてしまうのは必定です。
斜め45度の交差点から、南へ向かいます。
少しずつ上り坂になってきました。
ここは……
また、池!
清水船越堤公園の夫池です。「夫池」ですから、近くに「婦池」もあります。
狐ヶ崎周辺、池が多すぎる。
公園入口にやってきました。
KEKEの背後に見える管理棟に注目してください。おじさんがしゃがんでいるのが見えますか?
なんと、この管理棟で猫ちゃん達の面倒をみてあげている模様です…! 3匹います。
この清水船越堤公園ですが、広場→階段→広場→階段と、奥に進むほど山を登っていく造りになっています。
「社会のマナー」か……。
公園の一番奥にある「星の広場」にたどり着きました。
天文台がありましたが、中には入れません。
ここまで来たところで、あまりの暑さに心が折れかけてしまっています。
かなりの距離を歩いてきたので、来た道を戻るのが嫌すぎる。
どうしよう……、と辺りを見回すと、
「星の広場」の隅に抜け道のような階段があったので、イチかバチかで降りてみました。
抜けた先には小さな川と、素朴な橋。その橋を渡ってみた結果、
なんだか気持ちの良さそうな道に出ることができました!
茶畑だ〜〜!!!! THE・静岡!
山と山の間に敷かれた細い道。
谷の両斜面が茶畑になっていて、見渡す限り一面の緑色。
遠くの山も美しいですね。
相変わらず日差しは強いのですが、この道を歩いていたら徐々に体力が回復してきました。
ちなみに、このあたりの地名は 馬走(まばせ)といいます。
地名の由来は知りませんが、たしかに馬で走り抜けたら気持ち良さそうな道だなー、と思いました。
「私有橋(先月の記事参照)」がたくさん架かっていますね。
水路を辿りながらひたすら歩いていくと、目の前に現れたのは 静鉄(しずてつ)自動車学校。
向こう側に、イオン&ヤングランドボウルが見えています。
ようやくイオン前の立体交差点に戻ってきましたが、ここからもう少し歩いてみることにします。
イオンの横を通り過ぎて、西へ。
県道沿いに突然「上原公園」という公園がありました。が、草木の生い茂り方がすごい。
「この公園で動画でも撮れないかな?」と思って来てみたのですが、
巨大な蚊が群れで押し寄せてきたのですぐに脱出しました。
どうやら公園の敷地自体は広いようですが、ほとんど立ち入りできないみたいです。
公園の脇の道を、線路の方へ向かって降りていきます。
すると、こんな空間がありました。
解説板によると、これは「旧上原跨線橋」の橋脚部分。
よく見るとこの橋脚、そして手前の鎖を引っ掛けてある杭も、
断面が「工」の形をした鉄道のレールで出来ています。
1911年にドイツで製造されたレールだそうです。 へぇ〜
線路とイオンの間の道を歩いて、狐ヶ崎駅に戻って参りました。
一時は暑さでどうなるかと思いましたが、
茶畑の風景に励まされたおかげもあって、無事に帰ってこられてよかったです。
歩いてきた中では、大きな池を3つも見たことがやっぱり印象深かったです。
雨水対策がこの土地にとって重要なのかな、と思いました。
先月の富士市では豊かな水路が印象的でしたが、それとはまた違った水との付き合い方が垣間見えたような気がします。
狐ヶ崎は、リサーチの滞在先である清水駅周辺ともまた全然違った雰囲気でした。
清水での滞在の成果は、「きょうの演劇」の「ひみつのあそび」プロジェクトの方で発表されていくので、
そちらも気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。
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