静岡県富士市・吉原商店街を拠点にしたアーティスト・イン・レジデンスプログラム「富士AIR by Bird」さんからご依頼いただき、初の静岡県で「もやよし」を行いました!
せっかくなので、2日間。
1日目は吉原本町(よしわらほんちょう)駅周辺、2日目は田子の浦〜新富士駅を散策しました。
1日目:吉原本町(岳南電車)

岳南電車(がくなんでんしゃ)は、吉原駅から岳南江尾駅まで9.2kmを走るローカル線です。
商店街のある吉原本町駅までは、吉原駅から2駅。



自宅から約3時間で、吉原本町駅に到着。すぐに吉原商店街へと向かいます。

駅から西側へ伸びる吉原商店街は、かつて東海道の14番目の宿場町「吉原宿」があった場所。
今は静かな感じに見えますが、撮影日の一週間前には吉原祇園祭で大賑わいだったそうです。

さて、まずはピザ屋さん「Bird」(AIRプログラムのメンバー・田村逸兵さんのお店)に立ち寄って、荷物を置かせてもらいました。

ここから改めて、散策スタート。

商店街から少し入ったところにある神社が気になります。行ってみましょう。

菅原道真公を祀る天神社(てんじんじゃ)。こじんまりとしていますが、雰囲気の良い境内です。


天神社前から伸びる道。ここだけではなく吉原の街は全体的に、飲み屋さん・スナックの数がとても多いです。

天神社の裏に回ると、和田川という川に行き当たりました。
川底が見えるほど水が透きとおっていて、その綺麗さに驚かされます。さすが富士山の麓!


ここは和田町交差点。6叉路になっていて、画面奥に続く上り坂はその名も富士裾野線といいます。
今回は富士山方面には向かわずに、商店街と和田川の間をウロウロ歩き回ります。


このあたりは年季が入った建物が多く、形や質感が味わい深いです。

道のちょうど向こうに煙突が見えますね。
岳南電車の沿線は、製紙工場などが立ち並ぶ工業地帯で、工場夜景を見る特別な電車ツアーなんかもあるみたいです。

商店街から少し外れたこの辺りは、川の流れのせいか、斜めに交差している道が多いです。
でたらめに歩いていると元の場所に戻ってしまったりと、方向感覚が掴みづらく、散策のし甲斐があります。


和田川にまたがる公園橋を渡って、吉原公園に到着しました。

広い公園の奥に階段があって、登った先には、

東泉院跡(とうぜんいんあと)というお寺の跡地が広がっていました。
パッと見の印象で「城跡かな?」と思ったのですが、どうやら辺り一帯を治める大きなお寺(真言密教寺院)だったようです。

坂や階段が迷路のように錯綜していて、吉原公園の中は複雑な地形です。
ひとまず動画を2本撮ることができて安心したので、ここからはペースを上げていきます。

吉原公園から西へしばらく進んで、交通量の多い国道139号の近くにやってきました。

見てください、この歩道橋の素晴らしい形状!
交差点の上空を斜めに渡してあり、向こう側は螺旋状、手前側は直線で折り返す形になっています。

写真左の国道は東名高速・富士インターチェンジへと続きます。右は大渕街道。
真ん中にあるバレエスクールも気になりますね。(聞くところによると結構有名なスクールらしいです)
ところで、富士市といえばやはり富士山をのぞむ絶景…のはずですが、
ご覧の通り完全に曇っています。この時点で富士山の姿を拝むことは一度もできていません。

とりあえずさらに西へ進んで、富士山信仰の神社である浅間神社へ行ってみることにします。

着きました。結婚式場のアピールが強いですが、ここが富知六所浅間神社(ふじろくしょせんげんじんじゃ)です。


きっと天気が良い時には、本殿の背後に富士山が見えるのでしょう。


浅間神社の前にある空間。手前に水路が流れています。

このようにして水路に架かっている各戸専用の橋を、「私有橋」と言うそうです。
※参考記事:マニアックすぎる金沢案内。『金沢民景』仕掛け人と行く | 中川政七商店の読みもの

または「マイ橋」と呼ぶ界隈もあるみたいですね。 ※参考記事:「マイ橋」に夢中 :: デイリーポータルZ
みなさんも水路が多い街を歩く際には、ぜひ注目してみてください。

さて、大きな通り(弥生通り)を東へ歩いて、商店街の方へ戻ります。

ずっと大通りを行くのも味気ないので脇道に入ってみると、この車の多さ。
富士市は完全な車社会だそうです。そう言われてみると、歩行者の数がとても少なく感じます。




ぐるっと歩いて、吉原商店街に戻ってきました。
豆知識コーナー
この吉原商店街の前身である東海道の吉原宿ですが、元々はもっと海の近く(現在のJR吉原駅付近)にあったそうです。
高潮の被害による2回の移動(1639年・1680年)を経て吉原宿が今の場所に移り、それに伴って東海道も大きく内陸側に迂回することになったため、「江戸から京へ向かっているはずなのに、進行方向の左側に富士山が見える」という名勝「左富士」がうまれたそうな。〈Wikipedia – 吉原宿〉
1日目の散策はこれにて終了。ピザ屋さんで預けた荷物をピックアップしてから、

ビルの隙間を通って…

素敵なゲストハウス「14 Guest House Mt.Fuji」に泊めてもらい、夜は「Bird」のおいしいピザを食べに行きました。
【1日目のルート】
2日目:田子の浦〜新富士駅

ここは「ふじのくに田子の浦みなと公園」です。吉原からタクシーで来ました。
背後に見えているのは「富士山ドラゴンタワー」です。
名前からして、きっと頂上から富士山が見えるに違いない。早速登ってみましょう。



曇ってる〜〜!!!

でもまぁ、田子の浦港の複雑な地形や工場地帯を上から眺めるだけでも充分楽しいです。
※晴れている場合のドラゴンタワーの景色はデイリーポータルZの記事にあったので、そっちを見てください。

公園全体も、上から見るとなかなか個性的なデザインになってますね。

田子の浦みなと公園にはこの「ドラゴンタワー」の他にも、

歴史学習施設「ディアナ号」という船の模型があります。
(幕末に大地震・津波・悪天候で大破し沈没したロシア船の乗組員たちを付近の漁民らが救助した、ということがあったそうです。参考:日露友好とディアナ号 | 富士じかん)

あと、こういう物もあります。
これは…何だろう。



海岸の方へと降りてきました。
砂浜かと思いきや、足元は砂というよりも砂利っぽい感じです。

テトラポッドって、近くで見るとめちゃくちゃ大きい!
巨大なコンクリートの塊が目の前にあると、なぜかそれだけでテンションが上がっちゃいます。

テトラポッド作りの現場を発見。
左に見える赤い金属の型枠に、コンクリートを流し込んで作るみたいです。



さて、公園と海岸をのんびり味わっていたら、いつのまにかお昼時を過ぎてしまいました。
我々には、急ぎ向かわなければならない場所があります。

公園をあとにして、早歩きで向かった先は……

田子の浦港 漁協食堂です。 営業が13:30までなので焦りましたが、なんとか間に合いそう。



いくつか売り切れのメニューもありましたが、無事にしらす丼をいただくことができました。

さて、ご当地らしさ溢れる食事を済ませたところで、
住宅街の方も見ておきたいので、東海道新幹線の新富士駅まで歩いてみようと思います。

画面左の川を渡って、海と川の間の道を西へ向かって歩きます。

左右の家々をそっと観察しながら進んでいきます。
低めのブロック塀に、瓦屋根。
駐車の都合で塀が無い家も多く、生活感との距離の近さに少しドキドキします。


左(南)側を向くと、こんな風に土地が盛り上げてあって、

この盛り上がりの向こう側が海です。

トマソン(高所タイプ)の脇に鳥居がある、山神社(さんじんじゃ)という神社に立ち寄りました。

つい先ほどまで曇っていましたが、だんだんと晴れて暑さが厳しくなってきました。
潮風と汗で身も心もベチャベチャになりつつあったので、いったん小休止。


ハロハロって本当においしいですよね。

気を取り直して、引き続き歩いていきます。
1日目にも言及しましたが、道を歩いていると、やはり水路の多さが気になりました。

どの水路も水量がたっぷりで、流れが力強く、水が透き通っていて綺麗。
トークイベント(後述) で聞いた話によると、富士市ではそこらじゅうに湧き水が出ているので水量が豊かなのだろう、とのことでした。
なるほど、ただ山から海へ向かって流れるだけではなく、途中で湧いてもいる…!

小学校の脇にも大きな水路が。こんなの、絶対に水遊びがしたくなりますね。

レトロな民家が連なる海辺の町から一変して、造成地や新築の住宅が集まるエリアに差し掛かりました。

国道1号の下をくぐって、

だいぶ新富士駅に近づいてきました。


新富士駅を南北に貫くようにまっすぐ流れつつ、暗渠へ分岐する下堀川。
ここから四方八方へと水が運ばれていくのですね。

無事に新富士駅に到着して、タクシーで吉原へ帰りました。
この日の夜にはトークイベントに登壇し、2日間の「もやよし」で撮った映像を地元の方々に目の前で見てもらったりしました。新鮮なリアクションを受け取ることができて嬉しかったです。
(お越しいただいた皆様・アーカイヴ視聴してくださった皆様、その節はありがとうございました!)
アグネス吉井in富士 もやよし速報トーク
開催日時:6/17(金)19:00-21:00
登壇者:アグネス吉井、勝亦優祐〈勝亦丸山建築計画〉/ 司会進行:田村逸兵
主催:富士AIR by Bird 協力:14 Guesthouse Mt.Fuji / BLUE ROCK THRUSH
【2日目のルート】
【おまけ】
翌、富士市滞在最終日の朝。
ゲストハウスの屋上から、ようやく富士山のシルエットを拝むことができました!

【Vlogバージョンは、こちら!】